入信はしない

ぼくは小説はそんなに読まない。村上春樹の小説はだいたい読んでいて、文庫本と単行本を合わせると、50冊くらいは持っている。四回以上読んだ小説もいくつかある。つまり、ぼくは村上春樹の小説だけはそれなりに熱心に読んできた。ちなみに、初めて「小説っておもしろい」と思ったのは、高校二年のときに、安部公房の『壁』を読んだときだった。

 

まあそういうわけなので、自分の好きな作家は誰か、となると、村上春樹の名前がまず挙げられる。いま現在興味を持っている著者は、村上春樹の他に、河合隼雄鈴木大拙西田幾多郎木村敏エックハルト、ミンコフスキーあたり。このへんの人たちの本は、けっこうおもしろく読める。とは言っても、この人たちのファンというわけではない。禅や仏教に入れ込んでいるわけでもない。精神病理学に入れ込んでいるわけでもない。キリスト教神秘主義に入れ込んでいるわけでもない。あくまでも興味があるというだけで、じっさい自分は禅や仏教、ユング心理学、精神病理学、神秘主義について深く理解しているわけでもないし、つねに距離を保っていたほうがいいと思っている。入信はしないようにしたいものだ。

 

ちなみに、自分のいままでに読んできた小説のなかでいちばん好きな小説を一作挙げるとしたら、村上春樹の『風の歌を聴け』を迷いなく選ぶ。もっとも、ぼくがこれまでに読んできた小説の総数など、たかが知れているわけだけれど。