あかい花

結局、暇でなにもやることがないので、髪を切りに行ってきた。一時間待ちだったけど、待っているあいだ、ガルシンの「あかい花」という短編を読んだ。19世紀の精神病院の話。

 

静かな暖かいやみの夜であった。窓はあけ放してあって、星かげが黒々とした空にまたたいていた。彼はそれをながめ、自分の知っている星座を見わけたり、なんとなく星たちが自分の気持を理解し、同感してくれるようなふうに見えるのを喜ぶのだった。彼は目をまたたかせながら、星たちが自分へ送ってよこす無限の光をながめていた。それにつれて狂った覚悟はますます強まって行くのだった。鉄格子の太い棒をねじ曲げ、狭いすきまをはいぬけ、灌木のおい茂った露地へおりたって、それから高い石塀を乗り越えなければならぬ。そこでいよいよ最後の戦いだ。そのあとでは――死んでもいい。

 

ここを読み、スヌーピーのアニメーション映画を思い出した。A Charlie Brown Christmas スヌーピーのメリークリスマスという短編アニメーションで、チャーリー・ブラウンがクリスマスの夜空に輝く星を見上げるシーンがある。「なんとなく星たちが自分の気持を理解し、同感してくれるようなふうに見えるのを喜ぶのだった」、そういう感じ。