日記、本と音楽

統合失調症。普段の生活について書きます。

2014年11月12日(水) 21時55分21秒

ミンコフスキー、ブランケンブルク木村敏などの精神病理学の本を読んでも、治療的意義はない、というふうに思っていたけど、統合失調症という病気について理解を深めるということと、治療的ということと、区別しないといけないな。例えば、神経症の人が森田療法とか、禅の本を読むことには、そのまま治療的意義がある。治療的というか、人生をよりよく生きることに役立つ。神経症の治療というのは、そのまま、人生をよりよく生きようとすることと重なっているから。

 

しかし、その一方で、統合失調症の治療と、人生をよりよく生きることとは、重なっていない。生きる即ち治療、というふうにはならない。神経症の人は、治療なんてことを考える必要はなく、ただよりよく生きることを考えていればいい。しかし、統合失調症の場合は、そうはならない。薬物療法が必要だし、「よりよく生きる」ために必要な、生の欲望の自覚ということが非常に困難か、あるいは不可能になっているから。生の欲望の自覚ということは、ユングのいう自己実現にも関わっていると思う。要するに、いわゆる影との対決だと思う。

 

統合失調症の当事者にとって、木村敏などの精神病理学の本を読むことは有意義か、という問題は、非常に難しい問題で、なかなか簡単には答えの出るものではないと思っている。簡単に、「無意味」と片付けることはできないと思う。